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飲んだくれながらフェイダーを上げたり下げたり。幕が閉まると観客が地明かりを求めます

04.25.13:38

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03.03.21:45

小説「僕の彼女を紹介します」

小説更新します

小説「僕の彼女を紹介します」

友人の買い物は長い。

なぜ長いかというと

こうゆう話を聞いたからだそうだ。

では

 僕の彼女を見てほしい
 
作 あるとにあ
 
僕は彼女に絶対の自信があります!
 
俺はこの店に財布を買いに来た。前の財布はお気に入りだったのだがついに寿命がきて壊れてしまった。店の中をうろうろしていると、とても自分の好きな形の財布に出会った。それは牛の皮を丁寧になめしてある、黒い財布で、中を開けてみると大量の小銭が入るようになっていた。カードもたくさん入れることができるようだ。しかし、それゆえに値がはる。俺はしばらく財布の前を行ったり来たりしていた。そのとき、財布のほうから俺を勧誘してきた。
 
そこの君さ。今、僕の声を聞いて立ち止まったね。そりゃそうさ、僕はすごいことを言ってのけたのだからね。待って!もう行ってしまうのかい?行ってしまうのなら、僕はもう一度君を立ち止まらせてみせるよ。僕は彼女に絶対の自信があります!ほら、また君は迷った顔をしているけれど立ち止まった。だからさ、もうあきらめて僕の話を聞いていきなよ。そんなに面倒をかけるわけじゃないからさ。ただ、話を聞いているだけでいいのだからさ・・・。
 
僕の彼女は本当によくできているんだ。僕たちは同じ地元で生まれて一緒にいろいろな苦労や楽しみを感じ、今では同じこの店で働いているんだ。最近では、お互いの仕事が変わって、売り子の仕事をしているんだ。ほら、向こうのほうで僕の話をしている声が聞こえるだろう?あそこにいるかわいらしいデザインの子が僕の彼女だよ。他の従業員は自分たちのことしか売り込んでいないんだけれど、僕たちはお互いに助け合おうと決めて、お互いを売り込んでいるんだよ。彼女は僕のいいところを。僕は彼女のいいところを。という具合にね。やっぱりお互いに支えあっていかないといけないと思うんだ。そうやって生きていかないといつか孤独になってしまうよ。そう思わない?とにかく、僕たちはお互いを売り込んで今日まで働いてきたわけだよ。彼女は一生懸命けなげに僕を売り込んでくれるいい子さ。デザインだって素敵だし、よく見ればかわいらしいだろう?どうだい、いい話だっただろう?これで彼女の宣伝は終わり。
 
さっそくだけど君、僕を買わないかい?僕をそばに置かないかい?君にはその資格があると思うよ。なんて名誉なことだろう!そう思わないかい?僕は彼女のことをしっかり売り込んだことだし、彼女はけなげに僕のことを売り込んでくれている。これだけ見れば、僕がどんなにいいものかよくわかるだろう?あんなに彼女は僕のことを売り込んでくれるから、僕も自分のことを売り込むのさ。当然だろう?セール品になるのだけはまっぴらごめんさ。彼女は明日にでもそうなるだろうけどね。だって君、僕のことよく見てごらんよ。僕は牛の皮を丁寧になめした最高級品なんだぞ。色だって落ち着くシックな黒だ。中をあけてごらんよ。このたくさんの小銭の入る包容力。それなのに閉じたときのこのスマートさ。お金が落ちないようにジッパーも付いて安全設計。大人の身だしなみのための僕さ。もちろんお得意様の名刺もばっちりだし、大事なクレジットもポイントカードも傷ひとつつけさせやしないよ。かたや彼女を見てごらんよ。お子様むけのアニメのキャラクタープリントのケバケバしいピンク色のビニールで、お札も小銭も一緒に入れる仕様だ。あんなんじゃあスマートどころか、子供以外が持っていたら引かれるね。僕だって彼女があんなにけなげに僕の宣伝してくれると思って仲良くしてやったけど、そうじゃなかったら眼中にも入れたくないね。君もそう思うだろう?
 
だから、あんなセンスのない財布と一緒にこの仕事をさせられていると思うと反吐が出るね。さて、君。いい加減迷っていないでそろそろ僕を買ってくれないかい?あのレジというところは僕たちにとっては聖地だよ。あそこにたどり着けたものは英雄になって、他の商品たちに語り継がれていく。そして英雄になるのは僕が一番ふさわしいに決まっているのさ。始めてこの英雄伝を耳にしたときから思っていたんだ。だから、一刻も早く聖地を踏みたいんだよ。だから早く僕を買ってくれよ!!
 
かなり長い間俺はその財布の話しを聞いていた。ふと振り向くと、小さな女の子がピンク色の財布を大事そうに抱きかかえて俺の前を通っていた。通りすぎざまにピンクの財布はうれしそうな顔で、私のこと宣伝してくれてありがとう。と俺を口説いていた財布に向かって言った。財布のほうも長い間話を夢中でしていたから気がつかなかったんだろう。自分がこけおろしていた彼女が小さな女の子に大切そうに抱きかかえられて、俺を口説いている隙にレジという名の聖地を踏みしめていることを。もちろん俺は、俺を口説いていた財布の色違いを選んでレジに持って行った。
 
俺が持って行った財布は俺を口説いていた財布につめたく言い放った。俺のことを売り込んでくれてありがとうと。
 
そのとき、今まで俺のことを君あつかいしていたあの黒財布は叫んだ。
 
僕は自分の彼女に絶対の自信があります。彼女は僕よりも先に聖地に・・・
 
END 

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