11.24.14:51
[PR]
06.12.10:54
勉強
勉強がしたいようなしたくないような。
しないといけないとわかっているのだけれど、しているうちに無駄な気がしてしまって進まない。
というわけで
小説投稿します。
今回の作品は、友人のリクエストから
「死神の足音が聞こえる」
追いかけてくるのはなんでしょう?
死神の足音がきこえる
作 あるとにあ
むかしむかしあるところに、王さまが無気力な国がありました。恰好は、赤いお洋服に大きなマント、長い黒ひげを蓄えた、立派な王さまなのですが、どのくらい無気力かと言いますと、政治はすべて部下任せ、そのくせ、国で唯一きれいな建物であるお城から出てくるところをみると幸せになるといわれるくらいにお城に閉じこもって生活していました。それから、自分にとってそんなことは、絶対にやろうとしませんでした。ついこの間も、民が苦しい生活をしているのを見た王子さまが、私たち民のお米を取らないようにしてくれていたのですが、無気力な王さまは、生活が悪くなるのを恐れて、それを部下に命じて幾度もなく邪魔をしているのはお城の中だけでなく、村の橋の人間まで知っています。それに加えて、この無気力の王さまの妻であるお妃さまもひどいものでした。なかなかこの国では美しく、いかにも綺麗であり続ける努力をしていらっしゃるのですがこの性格の悪いお妃さまには、こんな逸話があります。あるとき一人の乞食がお城を見上げていました。それをお城から見下げていたお妃さまは、メイドにパンを持ってこさせお城の窓を開けはなち、顔を出して美味しそうにパンをかじった。なんて言われるくらいです。そんな無気力な王さまと性格の悪いお妃さまの国でしたので、この国はどんどん暗くなり、民は困窮していきました。しかし、無気力な王さまと性格の悪いお妃さまは、お城の中で明るく、なに不自由なく生活していました。
そんなある日のことです。こんな暗い国で、唯一明るい無気力な王さまと性格の悪いお妃さまのお城から少し離れた町で奇妙なうわさが流れはじめました。もともと暗い国でしたから、奇妙なことなんて民にとって何ともありませんでしたが、その内容は民の関心を集めました。それはこんなうわさです。「この日の数日前の話です。日はとうに落ち、明日がもうすぐそこに迫っているそんな時間に民の一人の男がせっちんに行こうとした時の話です。せっちんに立った男は、真っ暗な廊下をゆらゆら歩いていますと、無差別な方向から、シャリンシャリン。カチンカチン、コツコツコツコツ。と金属音のような音がしました。しかし、どんなに耳を澄ましても何の音か全く見当がつきません。」というものです。一見にはただの噂にしか聞こえませんが、実はこの国では金属なんて言うのは言葉だけが存在していて民には馴染みのない物でした。農耕用の道具ですら木製の私たち民が、いったいどこで金属音を聞くのでしょう。最初は、その男の勘違いかと思われたこのうわさはそのあと次々に同じような音を聞いた。というものがたくさん現れてドンドン井戸端会議に取り上げられるようになりました。そしてそれは、まるで行進しているかのごとく、お城に近づいているのでした。
うわさはゆっくりと足早にしかし確実にお城に近づいていました。六日前までお城の外でしか聞かれなかったうわさは、五日前には、中庭で聞いたと騒ぐメイドがいましたので性格の悪いお妃さまが腹を立てて鎌でメイドの首を自らお切りになりました。四日前にはエントラスホールで、舞台の真中で聞いたという盗人が町にうわさを運んで行きました。盗人はその日のうちに無気力な王さま率いる軍隊に捕まって連行されて行きました。三日前は、三階の食堂でコックが明日の朝御飯の支度をしている途中に聞いたそうです。執事が様子を見に行ったときには、コックは包丁を手に暴れまわっていたそうです。二日前には、その食堂の隣の部屋の執事室から足音がして昨日のことがありましたので執事が哀れにも布団の中で震えているのをメイド長が怒鳴っていました。とうとう昨日には、無気力な王さまと性格の悪いお妃さまの部屋の前で聞いたものが現れました…。
この話のうわさは、この後も五十とも百とも井戸端会議に出てきました。例えば、「無気力な王さまは、足音に殺されたのでは」とか「性格の悪いお妃さまは足音に殺されたのでは」とか。まぁ、二人とも民たちに、たいそう嫌われていましたので仕方ないと思うのですが、それはしょせんうわさです。なぜなら、王さまはしっかり私たち民の目の前で手を振っておられます。しかし、私はこのうわさだけは信じます。「今の王さまは急に若くなられた」と。本当に恐怖というものは、人を若くするものです。まさか、本気にしていませんよね。そんなわけありません。さぁ。そんなことはさておき、みなさんも大きな声で言いましょう。「革命軍万歳」
END
PR
- トラックバックURLはこちら