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飲んだくれながらフェイダーを上げたり下げたり。幕が閉まると観客が地明かりを求めます

11.21.16:55

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05.30.21:27

小説更新「人間味のある鉄格子にはめられて」

小説も久しぶりに更新します

人間味のある鉄格子にはめられて

皆さんは、こんな人間味のある鉄格子に閉じ込められたことはありますか?

こんな人間味のある鉄格子のなかに…。



 人間味ある鉄格子にはめられて
作 あるとにあ
 
 ある小さな町の小さな部屋の一角に黒い猫が一匹で住んでいました。黒猫はけして野良猫というわけではなく、きちんと血統書の付いた由緒正しい家柄の猫でありました。しかし、猫というのは気まぐれなもので、黒猫もそれは同じでした。家にいるのに飽きてしまい、自分の家から遠く離れた知り合いもいない小さな町に単身一匹でやってきたのでした。
 黒猫の両親は、一匹で暮らすわが子のために一戸を与えてやりました。その部屋に黒猫は住みついているのでした。その部屋で黒猫は、家の屋根に上って日向ぼっこをしたり、あたりを散歩して回ったりしていました。しかし、一匹の猫とはいえ、生きていくためには食べ物が必要です。黒猫も太陽が七回昇るまでは近くの集会所に出かけ、ボス猫のお世話をし、食べ物を分けてもらっていました。
 そんなある日のことでした。その日も黒猫は屋根にのぼって日向ぼっこをしていました。すると、一匹の黄色い小鳥が飛んできて、美しい歌声で、黒猫にもうすぐ訪問者があることを教えてくれました。黒猫はたいそう喜びました。いくら一匹での生活を好んでいたとしても、もう何十日も誰とも会っていなかったからです。
 黄色い小鳥は、今日から数えて七回目の一番星が見えるころに黒猫に訪問者が現れるよ。と言って、去っていきました。黒猫はそれを聞いて急いで部屋に戻ると、部屋中を大掃除しました。自分の部屋はもちろん、普段使わない部屋までピカピカに掃除しました。掃除が終わるころには四回目の一番星が空に上がっていました。
 そのあと黒猫は、自分が仕えるボス猫のところへ行き、一日だけお暇をもらえるように頼みました。ボス猫は黒猫のことを怪しんでいましたが、普段の功労を理由に一日だけお暇をもらうことができました。黒猫が、一日だけお暇をもらえると決まった時には六回目の一番星が出ていました。
とうとう、次の日が七回目の一番星の日になりました。黒猫は、朝から張り切って町に行きました。いつもなら集会所に行く時間でしたがお暇をもらっていたので、ゆっくり眠ることができました。ゆっくり起きるとまっすぐにお風呂場に向かいました。黒猫は水が苦手でしたが、もうすぐやってくる客人のために体の隅までしっかり洗いました。
 それから、お客様に出すご飯を作りました。黒猫が毎日ボス猫から分けてもらった食べ物を組み合わせて豪華な食事をきれいに磨いたプラスチックのお皿に盛りつけ木目の美しい床に並べておきました。
そのあと、黒猫はお客様の寝具を準備しようとしましたが、そこで黒猫は自分が寝具を一つしか持っていないことに気づきました。黒猫は、あわてましたが、寝具屋さんはもう閉まってしまっていましたので、仕方なく自分が使っている寝具を客室に準備しました。準備がすべてで、一息つくころにちょうど七回目の一番星が空に輝き、黒猫の部屋に訪問者が現れました。訪問者とは黒猫の飼い主でありました。
 黒猫の主人は、黒猫が一息ついていて自分にまだ気づいていないと知ると後ろから黒猫を抱きかかえました。黒猫は驚いてもう少しで爪を出してしまうところでした。主人は笑いながら黒猫を床におろすともう一度優しく抱きしめてくれました。黒猫は、嬉しくなってすぐに主人とじゃれあいを始めました。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、空を見上げると一番星どころかほとんどの星が見えなくなっていました。主人は黒猫に、そろそろ休もうと提案しました。黒猫は自分が客室に準備した自分の寝具を敷きました。主人はそれが黒猫の寝具だと知っていましたので、自分はどうするのかと聞きました。黒猫は、自分は毛布があれば大丈夫だと言いました。
 それを聞いた主人は、黒猫の寝具に入りました。黒猫はそれを見ると安心して客室から出ようとしました。すると主人は黒猫の手をつかんで自分のもとに手繰り寄せました。黒猫は訳も分からずもがきましたが、主人が一緒に入りたいと言いましたので、黒猫は主人に抱きかかえられたまま一夜を過ごしました。主人の腕はとても温かかったので、黒猫はすぐに深い眠りに落ちました。
次の日の朝です。黒猫はとても早起きな猫でしたので、主人より早く目が覚めました。しかし、黒猫は昨夜から主人に抱きかかえられたままでしたので、主人が腕を緩めない限り外に出ることがかないませんでした。主人の手は大きく、腕も太かったのでまるで鉄格子のような強固なものを連想しましたが、鉄格子のくせに温かかったので、黒猫はまた深い眠りに落ちましたとさ。
 
END

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